2019年大賞受賞作。
我とはサンスクリットにおける「アートマン」の訳語である。
インドにおいて紀元前7世紀ごろに成立したバラモン教においては、
ブラフマン(=大宇宙の摂理・法則)と、アートマン(個人的な考え・価値観)とを区別し、
両者の不調和こそがこの世における苦しみの根源であると考えられており、
アートマンをブラフマンの中に溶け込ませ一体化させること(梵我一如という)を目指した。

より具体的には、輪廻転生というこの世の仕組みと、カースト制という社会の秩序を受け入れ、
そうした構造に従う過程で、自分の瑣末な欲望を払い、構造と自分を一体化させることなどが試みられた。

しかし百年以上たっても梵我一如を真に達成するものは無く、
かえってバラモンを頂点とする構造に対し、インド人たちの不満は右に高まっていった。
ゴータマ・シッダールタ(釈迦)は「こんな方法では救いは永久に得られない」として新たに仏教を創始。
ヴァルダマーナ(マハーヴィーラ)もバラモン教を見限ってジャイナ教を新たに創始するなど、バラモン教離れが起き、
ついにはバラモン教自身が、難解な教義を避け、より民衆に密着したヒンドゥー教へと脱皮するにいたった。

我という概念はあまりにも難易度が高すぎるため、クソゲーとされ、2019年の大賞を受賞することとなったのである。

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